心霊現象解明前夜

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 のぞみに乗って大坂に向かう。梨香子と俊太は隣同士だが菅原は離れた席だ。梨香子は車内販売でミネラルウォーターを買った。 「菅原さん、いい人そうじゃないか。もっと怪しげな人が来ると思ったよ」 「霊媒師ってインチキ臭い人が多いもんね」 「澤田が死んでたとしたら霊を成仏させて貰わないとだもんな。でもなんで梨香子のところへ出るんだ?」 「私にも分からないけど何回か食事に誘われたことがあるの」 「ああ、そういうことか。奥さんも子供もいたのにな」  梨香子は頷いた。でも例え澤田が独身でも誘いには応じなかっただろう。俊太がいるし、歳も離れている。  新幹線は名古屋に止まり、京都に止まり、新大阪に着いた。ホームに降りると菅原と合流した。  ホテルにチェックインしようと北口を出た。フロントで手続きをしてエレベーターに乗る。菅原はロビーで待っていると言った。  部屋はこの前のシングルと同じような部屋だった。梨香子はキャスター付きトランクを置いて窓から景色を見た。ビルが立ち並ぶ通りが見える。俊太が隣に立って言った。 「まだ四時半だから直接ミナミに行かず、難波の手前の心斎橋で降りて観光しようか。菅原さんの荷物は俺が持つよ」 「そうだね。じゃ、行こう」  梨香子は笑顔で返事をした。
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