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地下鉄の御堂筋線は混んでいた。土曜日の夜ということもあるのだろうがもともと混雑する路線なのだろう。
心斎橋で降りると心斎橋筋商店街を歩く。多種多様な人が歩いている。想像していたよりお洒落な商店街だ。俊太は梨香子と菅原にお土産だと言ってキーホルダーを買った。
グリコの看板がある戎橋を渡る。この辺りはテレビでよく見る風景だ。俊太が微笑みながら言う。
「てっちりを食べながら心霊現象解明前夜の集いをしようか。店は少し引き返したところなんだ」
「そうなの。俊太、大阪に詳しいんだね」
「インターネットで調べておいたんだよ」
てっちり屋さんは、品のある日本料理屋さんといった造りだった。座敷にあがると四人用のテーブルに着く。俊太が一人一万円のコースを注文した。
「菅原さんも、まずは生ビールでいいですか?」
「ええ、なんだかすみません」
三人で乾杯をする。梨香子は菅原の写真を出した。
「この人がいなくなったって人物です。もしかしたら死んでるんじゃないかと思っています」
「あ、生きてるか死んでるか分かりませんが、この人が梨香子さんに憑いてるので間違いないと思います。ただ、生霊とかもいますんで」
「視えるんですか?」
「はい。今はこの店の入り口付近をうろうろしてます。神棚があるから入って来れないんですね」
梨香子は背筋に悪寒が走った。俊太も怖いのかビールを三分の一くらい一気に減らしている。
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