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ボストンバッグの中から下着を出して洗濯籠に入れる。着替えはシャツしか持って行かなかった。普段着でいいと言われたが紺のジャケットとスーツで行って帰って来た。服は後でクリーニングへ持っていくつもりだ。
Tシャツにジーンズを穿くとパソコンの電源を入れる。パソコンはデスクトップだ。CADをインストールするので、スペックも高くメモリの高いもの。それに細かい図面も見るのでデスクトップを買った。
画面に外国の綺麗な景色が現れた。その後、真っ暗になって澤田の顔がぼんやり浮かんだ。梨香子は驚いてマウスを動かしたりエンターキーを連打した。澤田は消えたが、梨香子は薄気味悪くて、俊太に電話した。俊太の家はここより都内に近い。もう帰っているだろう。
「もしもし、梨香子か? どうしたんだよ」
「澤田さんの霊が出たの。あの人、死んでるんだよ」
「まさか、梨香子は疲れてるんだ。大阪からとんぼがえりだったからな」
そうなのだろうか。疲れがいけないのか。
「それならいいのだけど。また電話するかもしれない。またね」
「ああ」
梨香子はスマホをデスクの上に置いた。
俊太とは付き合っている。まだ付き合い始めて三ヵ月だが知り合ってからは長い。お互い気心がしれている。
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