33人が本棚に入れています
本棚に追加
視線を戻すとパソコンはいつもの状態でデスクトップにCADやウイルスセキュリティソフトが並んでいる。梨香子はエクエルを立ち上げた。顧客になりそうな会社のリストが並んでいる。
梨香子は営業に回る会社の情報をインターネットでなるべく集めた。どうアプローチすれば仕事が取れるのか考える。本当ならこれは営業事務の仕事ではないのだが、出来るだけ俊太の力になってあげたい。
喉が渇いたのでキッチンへ行って冷蔵庫を開けた。ミネラルウォーターを取り出してグラスに注がずペットボトルのまま飲む。冷たくてとても美味しい。梨香子はペットボトルを持ってパソコンのモニターの横に置いた。
ふいに部屋の電気が消えた。六時なのでパソコンの明かりだけが頼りだ。逆にパソコンが点いているということはブレーカーではない。これはデスクトップだ。バッテリーがあるわけではない。
梨香子は電気のスイッチがあるところへ行って何回かオンとオフを切り替えた。リモコンを取り明るさを調整してみる。それでも電気は消えたままだ。
仕方がないので電気屋さんに電話しようとしたときだった。またパソコンの画面に澤田の顔が映った。澤田は言った。
「大阪」
「え?」
「大阪で日雇い仕事をしていたんだ」
澤田の家は足立区だったはずだ。なぜ大阪に行ったのかは分からないがモニターに映っているのは間違いなく本人だ。
最初のコメントを投稿しよう!