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金曜日になった。あれから澤田は現れない。俊太とも話をしたのだが、西成区で探すのに澤田の写真があったほうがよいと、以前に録画した社内会議から澤田の写真を幾つかプリントアウトした。
今は会社が終わって帰る準備をしているところだ。バッグの中にシステム手帳を入れる。スマホも忘れずに入っていることを確認するとオフィスを出ようとした。後ろから俊太が呼び止めた。
「九時頃に電話するから」
「あ、うん」
大坂へは土曜日の夕方に着くようにして、日曜日に澤田を探す予定になっている。一日で消息を探し出せるか分からないが死んでいるのなら警察か役所に顔写真を見せればすぐだろう。土曜日はゆっくり出発なのでその日の夜、外出して飲むための誘いがあると思った。
梨香子はエレベーターで一階に降りてビルを出て駅に向かった。駅ビルで総菜でも買って帰ろうか。駅ビルの食品街はスーパーに比べて高いがそれなりのものが置いてある。
マンションに着いて買ってきた総菜をテーブルの上に置いた。お米を研いで炊飯器のスイッチを入れるとシャワーを浴びるためユニットバスに行った。服を脱いでいるとインターホンが鳴った。梨香子は急いで脱いだ服を着て玄関に行った。ドアスコープから外を見る。見たことのない女性が立っていた。梨香子はドアガードを外さずにドアを開ける。
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