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第十一話
「しかし、女子高生とデートか……」黒崎が失笑している。
「仕方ないでしょう。黒崎さんが出来るだけ生徒と接点を取るようにって……」拓海は誤魔化すかのように牛乳パックをがぶ飲みする。
「また、コップ使えって言うの!」牛乳パックを取り上げた。
「酒も飲めないんだから、これぐらいいいでしょう!」拓海は黒崎の手から牛乳を取り返した。
「そんな事より何か進展あったのか?」黒崎はタバコに火を灯しながら今日の収穫を確認する。
「いいえ……、これといって……、まあ他の同僚とは仲が良かったようですけど……」
「お前、もしかして青春をもう一度謳歌してるだけなのか?気合い入れろよ!」拓海の顔に煙を吹き掛けた。
「なかなか、その話題に持っていくのが難しいんですよ。刑事みたいって勘ぐられるし……」
「まあ、女子高生とのデートで情報収拾してきてくれ」もしかして、羨ましがっているのかと拓海は思った。「梅村の事だがな、結構、良い印象を持って無かった教師も居たようだぞ。特に女教師」
「えっ?」先ほど恭子から仲が良かったと聞いたので、寝耳に水といった感じてあった。
「どうやら梅村って教師、他の男性教諭や男子生徒と結構派手にやってたようだ。反感と妬みってヤツだな」
「いやいや、それ教師として問題でしょう。よく首にならなかったんですね」拓海は呆れるように顔をしかめた。
「まあ、あくまでも噂のレベルのようだ。それでも火の無い所に煙は立たないというからな」黒崎はもう一度美味しそうに煙を噴いた。
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