1.二人の陽人

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15分間の休憩終了まであと数分、ハルは首に掛けたタオルで額の汗を拭いながら、さっきのレッスンの復習をし始めていた。 ダンスは苦手だと言ってたわりに、そこそこ勘は良い。 そして努力も惜しまない。 片足でターンをしてすぐの速い複雑なステップ、どうもそこが課題らしい。 さっきの練習を見た限りでは、ちゃんと形になってると思うけどな…… でも、もっと極めたいんだろうな。 真面目で妥協を許さない彼らしい。 足の軸がぶれたのか、ターンをし損ね、それを見ていた仲間に脇腹をつつかれ、仕返しをしては笑い転げている。 普段はキリッとした目なのに、笑うと極端に目尻が下がるハルのその笑顔に、アキの口元がフッと緩む。 この笑顔に、何度癒されたか分からないよな……と、しみじみ思った。
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