61人が本棚に入れています
本棚に追加
ダンスのレッスンが終わり、スタジオのドアを出ると、何やら外が騒がしい。
「キャーッ!! ハル、こっち向いて〜!」
「ハル、握手してーっ!」
あ〜ぁ……。
ショーの打ち合わせがあるからと、急いで出て行ったくせに、何捕まってんだか……。
いつもはマネージャーが一緒だから問題ないが、今日はタクシーに乗って現地集合だとか言ってたもんな…。
アキは軽く溜息をつき、立ち止まる。
「キャーッ! アキもいるーっ!!」
ハルを取り囲んでいた女の子達の何人かが、今度はアキの方にも押し寄せて来る。
…って、……そりゃいるよ。
キミ達、今日ここで、イベントの練習だって調査済みで出待ちしてたんだろ?
声には出さず、心の中で呟いてみる。
だけど本音では、有り難いと思う気持ちはちゃんと持っている。
数年前までは、こんなふうに騒がれる先輩タレントを尻目に、一切注目されることも、行く手を塞がれることもなく、スルーできていたんだ。
最初のコメントを投稿しよう!