3.クリスマス・イブ

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一度家に戻ってから着替える時間があると思い、普段着で練習に行ったものの、思いの外、余裕はなさそうだ。 素早くシャワーで汗を流すと、スーツに着替えた。 いつもは友達との食事にそんな改まった格好などしないが、ハルの指定した店はちょっとお洒落な感じらしいし、取り敢えずはクリスマスだ。 いつもラフな服装しかしないので、 “ ドレスコード ” みたいな状況になるといつも悩む。だから、少し前に新しいスーツを買っておいたんだ。 ハルはモデルだから、きっと質の良い物もよく知ってて、私服のセンスもいい。 だからって訳じゃないけど、やっぱり釣り合いも考えたい。 新しいスーツを着てみたものの、本当に自分に似合うのかもよくわからなくて、他の服まで引っ張り出して、鏡の前であれこれ迷う。 ハルが目を丸くして、 「それ、すごく似合うな」 なんて微笑んでくれる顔を想像しながら……。 「何やってんだ? 俺。デート前の女子か! キモいな」 結局、折角買ったんだからと、そのスーツに戻し、でも、ネクタイは正装過ぎる気がしてちょっと照れるから、スーツの下はシャツはやめて、落ち着いた感じの薄手のセーターにした。
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