3.クリスマス・イブ

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「いらっしゃいませ」 ドアボーイが(うやうや)しく頭を下げ、木製の重厚感のあるドアを開ける。 軽く会釈をすると、ハルは店の中に入って行った。 店内は暖かく、アンティークなインテリアも落ち着きを感じさせる。 かなり古い貿易商社だかの建物を改修工事してレストランに造り変えたらしいというだけあって、“ レトロ ” 、“ クラシック ” という言葉がピッタリするような内装だ。 予約の名前を告げ、ウエイターに導かれるままに、ハルは店の中へと進む。 暗めな茶色で本物の木に囲まれているような気さえする木製の壁。 同系色のテーブルと椅子。 天井から下がる真鍮(しんちゅう)の枠に厚みのあるガラスがはめ込まれたライト、 その傘は温かな柔らかい灯りを包み込んでいる。
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