3.クリスマス・イブ

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『clair de lune』 (クレール・ド・リュンヌ) それがこの店の名前だ。 フランス語で「月の光」という意味らしい。 このライトの灯りは、まさに穏やかでそんな佇まいを感じさせる。 入口から少し進んだところに、天井に届きそうなほど背の高いクリスマス・ツリーが客を迎え入れるように、どっしりと立っていた。 今時の(きら)びやかさとは一味違う、古い映画にでも出て来そうな雰囲気のツリーだ。 店の中程には時代を感じさせる雰囲気の暖炉があり、暖かな火がゆったりと燃えていた。 「うん、落ち着いてていい感じだ。 アキも気に入る筈だ。この店にして良かったな……」
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