3.クリスマス・イブ

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ふと目についたテーブルを見ると、幼い男の子と女の子、そして両親の家族連れ。 女の子は10歳くらいだろうか… その弟は、まだ幼稚園児だろう。 ご馳走を前に、とても嬉しそうな表情だ。 気分が高揚して落ち着かない弟の、口元についたソースか何かの汚れを、姉が笑いながら拭いてあげている。 普段から面倒見の良いお姉ちゃんなのだろう。 弟は、して貰ってることをあまり意識していない、そして興味を持った物に即行動してしまうタイプかな…… まだ幼いから仕方ないのかも知れないが。 そしてそれを優しく見守る父親と母親。 品の良さそうな家族だ。 小さな子ども連れでこういう店に来るんだから、そうなんだろうな。 俺の幼い頃は、せいぜいファミレスだったもんな…… ハルはそっと苦笑する。 あの子ども達は、今夜、素敵な夢を見て、翌朝には枕元のプレゼントに歓喜するんだろうな……。 その姿もまた、両親は陰で微笑みながら見ているのだろう。 絵に描いたような幸せな家庭だ。
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