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その向こう側を見ると、自分と同年代か少し上くらいの若いカップル。
食事が運ばれて来るまでの待ち時間、プレゼントをたった今開けたであろう小さな箱と包み紙が、テーブルの上にあった。
彼氏からのプレゼントは、何だったんだろう?
緩く巻かれた髪の先が、笑う彼女の動きに合わせて肩の上で揺れていた。
「ありがとう。すごく嬉しい」
ハルが二人のテーブルの横を通り過ぎる時、彼女が左手を宙に翳して、指輪を見つめてそう言った。
誠実そうな彼氏は、彼女のその仕種を見て照れ笑いをしている。
…あ、プレゼントは、指輪だったんだ。
プロポーズでもしたのかな……
誕生日やクリスマス等、大切なイベントの時にプロポーズするという話を度々聞くからな。
こういうことを堂々とできるって、羨ましいな……
もっとも今はそんな相手など居ないが。
いつか自分も、こういう感動の瞬間を経験することができるのだろうか……。
何よりも特別な愛に満ちた時間を共有している、という雰囲気が、二人の柔らかな笑顔から溢れんばかりに伝わって来る。
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