3.クリスマス・イブ

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「そりゃそうなんだけど! 都会の人はこんなの慣れてるかも知れないけど、私達のような地方の人間には、こんなこと滅多にないんだよ。もう一生ないと思う。 それにさ、年末のハルたちのライブ、楽しみにしてたのに、抽選、外れちゃったんだもの。観に行くこともできないんだもん」 美希は、両方の掌を固く握り、必死に訴える。 「う〜ん、そうだよねぇ……。気持ちは分かるんだけどねぇ」 「じゃあさ、とにかく行ってみる? 断られたら、ごめんなさいって謝ってすぐ戻ればいいんじゃない? 取り敢えず、ここよりは近くで顔拝めるよ」 もう一人の友人、菜穂子(なほこ)がウェーブのかかった髪を肩の辺りでいじりながら、軽い悪戯を仕掛けるように言った。 「うん! 行ってみたい」 「いい? 美希。断られるのは覚悟ね。 梨香の言う通り、芸能人だってプライベートの時間なら、本当は邪魔されたくなんかないんだから。 そこに敢えて行くんだから、こっちは直接喋れただけで儲けモノだと思わなきゃダメよ。 もし、意外に感じ悪くても! ……だよ」 菜穂子は、最後に少し茶化すような感じで美希を諭す。 「うん、分かってる」 上擦った声で話していた美希がそっと立ち上がり、緊張の面持ちでハルの席へと向かう。 その後ろを菜穂子と梨香も、他の人の目を気にしながら遠慮がちについて行った。
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