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「チェックお願いしまーす」
二人で真剣な顔でモニターを覗き込んだ後、監督の髭に囲まれた口元と、サングラスの奥の目元を凝視して反応を待つ。
「よし、OK！」
「はい！ では、オープニングムービーの撮影、これにて終了でーす！
お疲れ様でしたーー！！」
ディレクターのその声に安堵し、二人はまた顔を見合わせた。
「よし、一つクリア！ 明日からはダンスのレッスンだな」
「ダメだ……俺、明日、踊れる気がしない～！ 足パンパン！ 絶対筋肉痛になる～」
「年寄りかよ、ハル。お前の方が俺より若いんだぞ」
「んな、一個や二個、変わんねぇよ。
それに俺はモデル出身だからさ、ウォーキング練習とかウェイトトレーニング中心だったからな」
「確かにな。でも、走るなんてまだマシだぞ。
俺なんて、高い所から落ちたり、道で派手に転がったり、盛大に水ぶっ掛けられたりさ……」
「俳優業は大変だよな。
ま、俺も少しずつ芝居の仕事、増えて来つつあるけど」
「そのうち慣れるって。
俺は逆にグラビアの方が苦手だな。
前なんか雑誌の撮影でさ、女の子とデート設定の時、
『アキくん、動き硬いよ。何か鎧でも着てるみたい』って言われた」
それを聞いたハルが吹き出す。
「よ、鎧って……。
ダメだ。今、想像しちゃった。
アキが鎧着て、槍とか持って、女の子とデートしてるとこ」
「想像すんなって！ 誰がそんなファッションでデートすんだよ！
ま、慣れないことすると、そんなもんだってことだよ」
膨れっ面で文句を言った後、笑いの止まらないハルを見て、アキもつられて笑った。
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