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足立未央高校生活をあとわずかに残した頃だった。
春からの所属は決まっているとはいえ、友人たちとの他愛のないこんな時間も残り少ないのかと、ある種のメランコリックな感情を抱えていた。
友人の一人は、この高校生活に少しも後悔も残したくないらしかった。
「私、絶対に今日こそ上野に告白する」
友人の明海は三学期に入ってからこう言い続けていたし、一葉はずっと明海の勇気がしぼまないように励まし続けていた。
恋愛に興味は無いと言ったところで、女子のグループに所属している以上避けては通れなかった。というか、中学に入ったころからずっとまわりは恋愛モードだった気がする。誰かが好きとか、そんなしっかりとしたものではなく、誰がかっこいいとかそんなゆるい興味も含めると何かしら誰かしらそんな話題が出なかったことは無かったほどだった。
全く、何がそんなに彼女たちを夢中にさせているのやら……。私は、ハッと目の前の状況に戻った。いけない、ぼーっとしてた。
「ここまで来たら、もう卒業式に告ればいいじゃないの?」
私は正論を言ったつもりだった。だって、告白と言えば卒業式んじゃないの。
「だめだめ。今付き合えたら、もう勉強から解放されて遊ぶ時間はたっぷりあるし、今しかできない制服デートだってできるのよ」
明海はキッと私に「わかってないなぁ」という強い視線を向けた。
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