ばれても良い事悪い事

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 その子のことを別に何とも思っていなくてもその子を苛めないと自分が仲間外れになる恐れがある空気を読むと、皆と一緒に苛める、それは多数派に違いなく謂わば、加奈子は今時の普通の子だった。  そんな彼女は中学高校時代も極普通に青春を謳歌して大学生になり、同じサークルの3年先輩の翔平と出会って互いに好きになり恋人同士になった。  翔平は加奈子が大学4年で迎えた11月に妊娠したのを知って年内に彼女と結婚することにした。  加奈子は大学を卒業し、一流企業に就職して4年目に入った翔平が相変わらず仕事を順調に熟し、出世の道を歩んでいたし、その年の夏、自分は無事、出産して産後の肥立ちも良く赤ちゃんもすくすく育って4歳になった或る日のこと、幸せ一杯の加奈子であったが、顔色が悪いし、だるそうなので我が子を病院に連れて行った。診察してもらったところ貧血気味というので血液検査の為、採血することになった際、序に血液型検査をしてもらった。するとB型と判明した。それを知って、「えっ!」と加奈子は思わず叫んだ。彼女はABO式で言うと、OO型で翔平はAO型なのでB型の子が生まれる筈が無いのだ。  あの日のことを忌々しく後悔しながら回顧していると、「どうかしました?」と医師に訊かれた加奈子は、「い、いえ、何でもないです・・・」とだけ答えた。
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