ばれても良い事悪い事

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 5年前、大学4年の夏休み、加奈子は同大学の女友達3人と海水浴に行った。そのビーチで加奈子は男に声を掛けられた。ビキニギャル10人を出演させるDVDを作っているんですがロケ車の中で10分くらいの間、インタビューを受け、日焼け跡を見せるだけで謝礼として1万円を支払いますからどうですかと言うのだ。  加奈子だけビキニで割とスタイルが良いからこんな話が舞い込んで来たのだが、男はとても朗らかに丁寧語を使って優しい口調で彼女のスタイルを調子よく尾鰭を付けて褒め、こんな割のいい小遣い稼ぎはないですよ、こんなおいしい話はないですよと執拗に誘った。  結局、彼女はその気になってOKして友達たちと一旦、別れ、男とロケ車に向かった。  ロケ車の中にいたチーフの男も軽薄そうで巧言令色といった感じだった。中はクーラーが効いていて窓にはカーテンが掛けてあって加奈子が車中に入った後、外にいた男がスライドドアを閉めて撮影が始まった。  インタビューでは感度はどうかとか初体験はいつだったとか体験人数はどれだけだとか最後にエッチしたのはいつだとか、そんなことばかり訊いて来た。で、翔平とエッチしたのは3週間前なのに俗悪たる虚栄心から見栄を張って昨日と偽ったりする加奈子であった。 「じゃあ、日焼け跡を撮りますんで」とチーフの男は言う段になってスライドドアを開けると、スタッフの男が入って来てスライドドアを閉め、加奈子の後ろに回ったところで、「内のスタッフがサポートしますので」と言ってまた撮影を始めた。  すると、スタッフの男がいきなり首に掛かった紐の結び目を解いたものだから加奈子はびっくりして胸を押さえた。 「おう!日焼けの跡がくっきり出てますねえ」とチーフの男は一段と弾んだ声になった。「ブラを外したら謝礼プラスしますよ」 「えっ!それは無理!」と加奈子が叫ぶと、「じゃあ、ブラを外さなくていいですから気をつけしてください」とチーフの男は言った。  加奈子は仕方なくブラがずり落ちないように脇を絞めて気をつけすると、スタッフの男がブラをめくってしまった。 「いやいや!それは駄目!」と加奈子が慌てて胸を押さえると、チーフの男は笑いながらスタッフの男に紐を結ばせたが、「水着の素材を確認させていただきますね」と言ってスタッフの男にブラを摩らせた。それは胸を揉んでいるのに違いなかったが、謝礼プラスしますので安心してくださいとチーフの男に言われた加奈子は、いやいやながらも我慢するしかないと一分程、渋々堪えた後、喘ぎ声を出せば更に謝礼プラスしますよとチーフの男に言われ、再びいやいやながらもこうなりゃあしょうがないとばかりにそのようにした。それから問題の下へと移って行き、またもやいきなりショーツの紐の結び目をスタッフの男に解かれてしまった加奈子は、悲鳴を上げながら前を両手で押さえると、陰毛見せれば更に更に謝礼プラスしますよとチーフの男に言われたが、流石にそれには応じられなかった。で、騙されたと思った時には時既に遅しでマットの上に膝立ちしていた彼女は、スタッフの男に羽交い絞めにされてしまい、新たに入って来たスタッフの男に撮影させる為にビデオカメラを預けたチーフの男に、謝礼ものすげえ奮発しますし、ゴム付けますから安心してくださいと言われ、やられてしまった次第だ。結局の所、この時も空気を読んで男たちに調子を合わせている向きがあった。  (翔平に)ばれなければ、大丈夫と気休めに思う加奈子であったが、5万円ももらえたことで文句を言うことも出来なかった。それどころか笑い合って男たちと別れた。しかし、コンドームのつけ方が完璧でなかったのがいけなかったのだ。
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