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「ルカ王子」に身なりを整え、少し遅い朝食を取る。
毎回朝食は部屋に準備して貰い、セーラ様と私、ダーク様だけにして貰っている。
「…ダークのコーヒーが飲みたい」セーラ様が3都市目の朝、つぶやいた。
ダーク様は「準備して頂いた豆も上質ですよ」とセーラ様と私に給仕してくれた。
あぁ、あの美味しいコーヒーは、セーラ様のために厳選した、特別なコーヒーなのだと気がついた。
その日のコーヒーは、ひどく苦く感じた。
「そういえば、この近くに先日辞めた給仕係の故郷がありますね」
ダーク様は人事にも精通しているのか!
コーヒーを一口飲み、思いついた。
「あ、赤毛のマリーですか?」
ルカ王子が失踪する2日前くらいからマリーを見ていない。
「辞めたのですか?」
「そうだ、親の具合が良くないらしくてな。王宮中多忙な時期だったので、1週間ほど待って貰ったが…間に合ったのだろうか。申し訳なかったな」
赤毛といえば…あー、あれだ。
「では、金髪の恋人とはお別れなんでしょうかね」
カシャーン!
私の言葉にセーラ様がフォークを落とす。
二人が、大きな目で私を見つめる。
「…金髪?」
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