窓拭き係にドレスは似合わない

捕獲

ルカ王子は、マリーの実家にいた。
金髪を墨で一時染め、変装し、以前捜索に来た兵を欺いていたのだ。

「冷酷非道を噂される皇女様だ。断ればこんな貧乏な国、潰されてしまうと父上に長年に渡って諭されて、半ば諦めて入国したけど…マリーに出会って、俺の人生を大事にしたいと思ったんだ」
捕らえられたルカ王子は、晩餐会の後、マリーと共にセーラ様の元へ引き渡された。
マリーは赤毛で、小柄で可愛らしく…セーラ様とは正反対の雰囲気だ。

マリーの父親は、３日前に亡くなったばかりだった。
連絡を受けてすぐ帰郷していれば、王子を連れて帰ることは無かったが、帰郷を遅らせた間に、王子がマリーに懇願し、計画を立てたという。

「お願いします。マリーと共に生きていきたいのです…」

冷めた目で、まるで人形のような表情のセーラ様は
「ひとまず貴方を拘束し、貴方のお父上、Ｒ国王に引き渡します」
踵を返し、客間へ戻って行った。
部下に指示を出し、後を追うダーク様。
私も、ダーク様について行った。