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「ローゼ、早く着替えて、こっちにおいで」
セーラ様がベッドから手招きする。
そのお姿に、私は座り込んでしまった。
セーラ様は、やれやれ、と言わんばかりにベッドから出て、私をソファに座らせた。
化粧を落とし、服を脱がせ、私の「ルカ王子」を解除していく。
「悪かったな、折角のキレイな金髪…勝手に切ってしまって」と、私の髪を撫でた。
胸を隠すためのコルセットも外し、セーラ様のネグリジェを私に被せた。
驚く私をベッドに連れ込み、一緒に布団に入る。
そして、ぎゅっと私を抱きしめた。
「ふふっ。こうしていると、姉妹みたいじゃないか?」
ダーク様からセーラ様をお任せされたのに、私が慰められている。
「お前の寝息は心地が良い。今日はもう寝よう。…全部明日!」
セーラ様は、私を抱きしめたまま、寝入った。
一体誰が冷酷非道な皇女と言ったのだろう。
有能なセーラ様を妬んだ誰かだろうか。
確かに目つきが鋭い美人だから、睨まれると震え上がるほど怖い。
非道なら、他国の民のことまで気遣わない。
結納金の使い道を知っていたからこそ、返納させずに済む方法を模索したのだ。
一途で、国民思いで…ちょっと不器用なだけだ。
きっと…素敵な男性と結婚出来ますよ、セーラ様なら。
そのお相手が、ダーク様かもしれないという事は考えないようにして、私は眠った。
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