帰路

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騒ぐ声。馬の悲鳴?大勢の声と、剣と剣が重なり合う音。爆発音。 誰か、指示を出す人物がいる。 …オウジハドコダ? 怖い。 横倒しになった馬車の中で、小さくなって震える私。 何?襲撃?どうして?セーラ様はご無事? ダーク様…!早く戻ってきてください!! 私がいる馬車の窓の外から誰かが覗いた。 ダーク様?違う、髭の生えた知らない人。騎士様達でも無い。 私を見て、ニヤリと笑い、助けるわけでも攻撃するわけでもなく、去って行った。 辺りが静かになった。 うめき声が聞こえる。 震える手で馬車内をよじ登り、外に出た。 ひどい有様だった。 森の出口が狭く、縦一列になったところを襲撃されたのだ。 騎士様や御者の方、使用人が血を流して倒れている。 ひとまず…セーラ様!ダーク様! 新しい馬車から煙が出ている。 ドアを開けると、爆発物を放り込まれたのか…絶命しているルカ王子と… 背中に爆発の衝撃を受け、虫の息のダーク様の腕の中で、キレイなままのセーラ様。息は…ある!気を失ってはいるが。 馬車が燃え始めていたので、3人を馬車から出し、マントで火を消した。 荷台から出した騎士様達のキルトケットを並べ、ケガ人をそこに寝かせた。 何をどうしたらいいのかわからない。 ダーク様にも頼れない。 このままでは、野犬や狼に襲われてしまうかもしれない。 動けそうな騎士様と馬を探し、森の向こうの人里まで走ってもらう事にした。 動けるとはいえ、大怪我をされている。止血処置だけさせて貰った。 …ルカ王子。折角見つけたのに。 女装しているので、私が死んでいるようだった。 男装している私は…無傷。 私は、セーラ様のお道具から紅を出し、ルカ王子の唇を染めた。
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