帰路

3/3

46人が本棚に入れています
本棚に追加
/39ページ
「おぉ、ルカ!そなたは無事であったか!」 ここは、襲撃があった森の近くの村の病院。 R国王は自国でルカ王子が見つかったとの知らせを受け、こちらの国に着いたところ、帰路襲撃の知らせを受け、数人の従者を連れて飛んできたという。 我が国の王様も、ご一緒だ。 死者9名、重傷者13名、負傷者8名という大惨事だ。 その中でも、セーラ様は頭に衝撃を受けているらしく、まる1日たった今も眠ったままだ。 ダーク様も…傷がひどく、ずっと痛みと高い熱にうなされている。 私は、病室の隅で小さく膝を抱えて座っていた。顔を、隠すように。 「ルカ王子は…お怪我は無いようですが、ずっと伏せっておいでです」 救援をお願いした騎士様は、男装した私をルカ王子と認識し、それも伝えた。 「ご無事で何よりです。襲撃中、そのようにお隠れになっていたのですかな?賢明です」…聞き覚えのある男の声が近寄ってきた。 「お前、今までどこにいた」顔を伏せたまま、男らしい声で尋ねた。 その様子に、皆がこちらに注目した。 「わ、私は今までずっと王様の側に…ねぇ、王様」と、R国王に助けを求めた。 「では、なぜ爆薬の匂いがそなたからするのだ」 ざわめく人達。 「なぜズボンの裾に、泥と共に血痕があるのだ」 「ま、まさか…!」慌てて自分のズボンを確認する男。 「お前がニヤついたときは、左の髭が上がる!隠れていた私を確認した時もそうだった!」私は顔を上げ、立ち上がった。 「私はローゼ!お前らに殺されたルカ王子の替玉だ!」 真っ青になる髭の男。怒りで真っ赤になるR国王。 「捕らえよ」我が国の王の一言で、R国王と従者を取り押さえた。 「話をゆっくり聞かせて貰おうか。…セーラが目覚めるまでにな」
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

46人が本棚に入れています
本棚に追加