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眠り姫
「よし、後はセーラ様のお部屋だわ」
窓拭き道具を持って、セーラ様が眠るお部屋に移動する。
私がルカ王子の替玉をして、仕事が出来なかった3週間、騎士の皆さんが総出で「訓練」として窓拭きを行ってくれていたらしい。
端までキレイではなかったけど…有り難かった。
あれから5ヶ月。ずっと、セーラ様は眠っている。
襲撃実行犯の髭の男は、先日処刑された。
ルカ王子とは顔馴染みで、襲撃時は顔を隠していたのだが、王子に顔を見せれば状況を把握してもらえると思ったらしい。…結局は人違いだったが。
主犯はR国王で、セーラ様を亡き者にし、ルカ王子にこの国を乗っ取らせる計画だった。最悪、襲撃による慰謝料を要求するつもりだった。
R国王は王位剥奪の上で、国外追放となった。
ルカ王子は、この件に関しては知らされていなかったという。
R国は、第一王子が新たな王として国を立て直すことを約束した。
第一王子は、セーラ様の幼馴染で、いつも両国のために何をするべきか、昔から討論を繰り広げていた仲だったのだ。
私の仕事が終わったら、セーラ様の手を握り、今日仕入れた王宮の話をする。
私の日課になった。
今日の夕食予想の話に始まり、重傷者だった騎士様の一人が今日訓練に復帰出来たとか、「窓の下で逢引きするとローゼに見つかる」という噂が流れているとか、…今日のダーク様の訓練のご様子とか、ダーク様のご機嫌とか、ダーク様の笑顔とか…。
「私の髪も、少し伸びましたよ」
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