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眠ったままのセーラ様。
お化粧しなくても、とっても綺麗。
でも、痩せ細ってきたので、少し、怖い。
今日こそ、試してみようか…
ドキドキしながら、セーラ様の耳元に両手をつき、お顔にそっと自分の顔を近づける。
「何している?」
「ひゃあ!」
部屋にダーク様が入ってきていることに気が付かなかった。
「あ、あの、もしかしたら〜ですけど、キスでもしたら、起きるんじゃないかと…思いまして」
今、顔から湯気が出ているかと思えるくらい、熱い。
でも、嬉しい。
ダーク様とお話するのは、ダーク様が高熱から覚められた時に一度、私を気遣ってくださった時以来だ。様子は、何度も見に行きましたが。
「眠り姫だって、誰でも良いというわけではないだろう」
杖をつきながら、そばまで歩いてきた。
ダーク様は爆発を直接背中で受けた影響か、左足がまだ上手く動かない。
その為、皇女様付き騎士の任は外されたが、今は新人養成に精を出している。
「でも私、セーラ様とは誓いのキスをした仲なのですよ」
ダーク様は、ははっと笑って、私の頭を撫でた。
撫でた右手が、そのまま降りてきて、私の左頬を包む。
私はその右手にそっと触れる。
ダーク様は右手を…そのまま私の後頭部に回し、胸に私を引き寄せた。
「目覚めるかもな。セーラ様は、お前を気に入っていたし」
何度も泣いたのに、また涙があふれた。
もう5ヶ月も経つ…。
点滴で栄養を与えているが、いつまでもつのか…そんなこと、誰も口には出せない。
「私より…あんた達2人がキスでもした方が…目、覚めるわ」
セーラ様が、シワがれた声を発した。
「せ、セーラ様…?」セーラ様の手を握ると、弱い力で握り返してきた。
ダーク様は、よろけながらドアの外に向かい、「誰か!医者を呼べ!セーラ様が目覚めた!王様にも伝えろ!急げ!!」と叫んだ。
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