眠り姫

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「皆が…入れ替わり立ち替わり、…色んな話をしていってたのだ」 ふふっと力無く笑うセーラ様。 目覚めてから、1週間経った。 セーラ様は、静かに、ゆっくり話された。 「私は動けなかったが、耳は聞こえていたのだよ。身体が動かない自分に絶望し、あの襲撃で大勢が死傷し、ルカ王子も亡くなったことを知って、いっそ自分も死ねたら…と思ったこともあった。 普段なら、自ら王宮中を見回って異常が無いか確認し、皆から話を聞いて、提案や助言を出したり、対策を検討したりしていた。 何もできない今の自分に、生きる価値はあるのかと考えた。 でも、毎日皆が懸命にお世話をしてくれて、報告や愚痴をこぼしていく。 昨日は悩んでいたことも、自分で考え、今日には報告にくる。成功しても、失敗しても。 助言できないもどかしさはあったけど、皆が成長していくことが、楽しみだった。 そして、ローゼから聞く王宮中の話で、色々裏付けされていたな。 …ダークは一度だけ。専属から外された後…報告に来た」 「最後に…あの時はセーラ様をお守りきれず、申し訳ございませんでした。セーラ様がどんなお姿でも、専属を解任されても、私の足が動かなくても…貴方を思う気持ちに変わりはありません。しかし…」 しばらく間があり、小さな声で言った。 「アイツが気になってしまうのはどうしたら良いのでしょう。彼女が窓を拭いている姿を見かけると、ついその近くの広場で訓練を始めたり、張り切ったり…はぁぁぁ…」 見えなくてもわかる。きっとダークの顔は真っ赤だ。 っとに、お前は少年か?まぁ、無理もない。 14歳の時に騎士団見習いになり、20歳で私の専属になったのだ。 私を思う気持ちというのは…崇拝なのだ。 その身に刻み込まれた、騎士の魂。
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