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期待
セーラ様は、今日は沢山お話しされたので、疲れて眠ってしまった。
毎日少しずつ手足を動かせたり、お粥を召し上がられたりなど、出来ることが増えていく。
いつかまた、ダンスを踊ろう、と約束もしてくださっている。
窓拭き道具を持って、セーラ様の部屋を出た時、ダーク様がみえた。
「セーラ様は…今、眠ったところです」
セーラ様からダーク様のお話を聞いた直後なので、ニヤついてしまいそうだ。
…今から自分の部屋で小躍りして、気持ちを落ち着かせるつもりだ。
「いや、お前に用があって来た」
「私、ですか」
心臓が、ひっくり返ったのかと思うくらい、高鳴ったが、冷静を装った。
「では、道具を片付けてまいります」
ダーク様は、右手を出しかけて、引っ込めた。左手には、杖がある。
「大丈夫ですよ、私、力持ちなんですよ」
「そうだったな、では東の談話室で待っている」
やばい、期待しかない。小躍りじゃ、落ち着かない。
震える膝をカクカクさせながら急ぐ私の姿は、どう見たって異常だろうな…。
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