窓拭き係にドレスは似合わない

沈黙

「そういえば、セーラ様もダーク様のコーヒー飲みたがっていましたよね」
あの時、セーラ様に嫉妬をしてしまった。
この美味しいコーヒーは、セーラ様の為だったと…。

「あぁ、セーラ様のコーヒー豆、また仕入れておかなければな」
「違うんですか、コレと」
「セーラ様は、もっと酸味のあるコーヒーが好きなんだ。コレは、俺好みの特製ブレンド。命令でセーラ様の好みの配合を研究していた傍ら、ついでに、ね」

コーヒー豆を前にして悩むダーク様…想像したら、なんか可愛い。
何より、ダーク様と好みが合って、超嬉しい。

「では、セーラ様に感謝ですね、この味に出会えさせてもらえて」
「そうだな…」

続く沈黙。
私は両手で空になったカップを握りしめていた。
コーヒーおかわり！なんて厚かましい？
もうお礼を言って帰るべき？

…でも、ダーク様のお側にいたい。