窓拭き係にドレスは似合わない

祝賀会

「式典もうすぐ始まるわよ！急いで片付けて！」

セーラ様ご公務復帰祝賀会。
目が覚めて、5ヶ月での完全復帰だ。
特に後遺症もなく、体力もかなり戻った。

王宮からセーラ様の元気なお姿を国民に披露し、そのあと来賓を招いての晩餐会。
晩餐会では、給仕要員が足りないので、王宮中の使用人が駆り出される。
騎士様達は、警備にあたる。

晩餐会の後ダンスをするので、リハビリを兼ねて、私は何度もセーラ様とダンスを練習した。
おぼつかない足取りでも、初めて約束が果たせた時は、思わず泣いた。

ダーク様とは…お互い忙しくて、仕事終わりに皆がいる休憩室で一緒にコーヒーを飲んで、雑談することしか出来ない。
しかも、初めてダーク様とキスした日あの時、廊下でダーク様の部下達が聞き耳を立てていた。
私が「ローゼって言った！」と言った時、廊下で「は？」と声を出した人がいて、判明した。
…なので、あれ以上のことは、今日までずっと、無い。

それでも今は満足だ。
今まで遠くから見ていたダーク様が、近くにいる。笑顔を向けてくれる。
「ローゼ」って、呼んでくれる。
こんなに幸せだと、また何かあるのではと勘繰ってしまう。

いや、いや、いや。
今は祝賀会を成功させるため、自分にできることを精一杯やろう。