祝賀会

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音楽が変わった。 宮廷楽団の生演奏。 ダンスが始まったのだ。 今回はセーラ様の体調を考え、21時までの祝賀会。 その後、私達が一斉に片付ける。 ダンスが始まってしまえば、それまでは暇だ。 会場裏のベンチに座って、演奏を聞く。 ダーク様は、会場警備中かな。 足も、杖が無くてもかなり歩けるようになった。 走ることは…まだ無理だけど。 「私と踊っていただけますか?」 暗闇から、突然のお誘い。 「ダーク様…なぜ、ここに?」想定外に、物凄くびっくりした。 「部下が、教えてくれたんだ。見かけたって」 月明かりで照らされた、騎士のお姿のダーク様がとてもお美しい。 ダーク様は、私の目の前に跪き、 「私と踊ってください」と手を差し出してきた。 「はい」私は自分の手をダーク様の手に乗せた。 …ここは復唱したらダメなやつだよね。 ちょうど音楽が終わり、次の曲が始まる。 そのタイミングで2人、一歩を踏み出した。 密かに練習した女性ステップ。 見事に足がもつれ、転倒し、笑った。 手を繋いだまま二人寝転がり、満天の星空を見上げた。 「星がきれい…」 星空が、急に消える。 ダーク様が、私に唇を重ねる。 背中が草むらで冷たいけど、唇が熱い。 「セーラ様専属の騎士に戻る事になった」 私の頬を撫で、申し訳なさそうに言う。
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