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「今までのように会えなくなる。セーラ様が視察に出る時は、自分も同行する。何日も王宮に帰れない時もある。だから…」
「あ、だからか」つい、ダーク様の言葉を遮ってしまった。
「何だ?」戸惑うダーク様。
「私、セーラ様がご公務で王宮を離れる時の、お世話や話し相手の係に任命されました。一緒に行動出来ますね」起き上がり、ベンチに座る私。
私の悪い癖だ。
ドキドキがピークに達しそうな時、つい逃げてしまう。
「だから…」の続きは聞きたいけど、心臓が耐えれそうに無い。
でも、今日のダーク様は容赦しない。
ベンチの私の横に座り、こちらを向き、手を取る。
「ローゼ、私と結婚してください」
ほら、幸せが過ぎて、これは夢かなって思う。
……違うわ、この背中の痛みは、現実だ。
「全てはお前のせいだ!お前がいなければ!」
私は、2度目の痛みでベンチに倒れ込んだ。
月明かりの中、高笑いする元R国王は、ダーク様に捕らえられた。
ダーク様は大声で応援を呼び、騎士様達が集まる。
ダーク様が、わたしの名前を呼んで駆け寄る。
ダーク様、私、まだ自分の気持ちをちゃんとお伝えしてないですよね。
残念…今、言葉にしたくても、上手く息が出来なくて、…声が出ない。
心臓が飛び出ようが、顔から火が出ようが、ちゃんと早く気持ちを伝えておけば良かったですね。
あれ?ダーク様のお気持ちも、ちゃんと聞いていない気がする。
目の前で、ダーク様が何か叫んでいる。
音楽で、よく聞こえないや。
暗くなって、よく見えなくなってきた。
音楽が、消えた。
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