48人が本棚に入れています
本棚に追加
その後
馬車に揺られ、帰路に着く。
セーラ様の視察の同行で、5日間王宮を離れた。
「ねぇ、ダーク」報告書に目を通し終えたセーラ様が、話を振る。
ローゼの事を考えていた俺は、返事が遅れた。
「何でしょう」
事件のあった祝賀会から、1ヶ月経った。
それまでに10ヶ月も公務を休まれていたので、セーラ様は以前に増して忙しい。
「もし…過去に戻れるなら、いつに戻りたい?」
『もし』の話は、散々一人で考えた。
セーラ様の皇女である立場を考えると…この最悪なルートが無難なルートがだったかと思える。
ルカ王子を見つけた時、放っておく方が良かったのか。
それでもきっと襲撃され、その時は全滅していただろう。
「ルカ王子」がその場にいたから、生存者を残したのだ。
「そうですね…貴方がルカ王子に熱を上げる前ですかね」
「あら、5年前なんて、私の専属になったばかりで、びびっていたじゃない。
でも、そうしたら貴方、その後ローゼと親しくならなかったんじゃない?」
いや、時間はかかるかもしれないが、きっと出会えていた。
元々、コロコロ表情を変えて窓を拭く「窓拭き係」が、少し気になっていた。
最初のコメントを投稿しよう!