その後

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その後

馬車に揺られ、帰路に着く。 セーラ様の視察の同行で、5日間王宮を離れた。 「ねぇ、ダーク」報告書に目を通し終えたセーラ様が、話を振る。 ローゼの事を考えていた俺は、返事が遅れた。 「何でしょう」 事件のあった祝賀会から、1ヶ月経った。 それまでに10ヶ月も公務を休まれていたので、セーラ様は以前に増して忙しい。 「もし…過去に戻れるなら、いつに戻りたい?」 『もし』の話は、散々一人で考えた。 セーラ様の皇女である立場を考えると…この最悪なルートが無難なルートがだったかと思える。 ルカ王子を見つけた時、放っておく方が良かったのか。 それでもきっと襲撃され、その時は全滅していただろう。 「ルカ王子」がその場にいたから、生存者を残したのだ。 「そうですね…貴方がルカ王子に熱を上げる前ですかね」 「あら、5年前なんて、私の専属になったばかりで、びびっていたじゃない。 でも、そうしたら貴方、その後ローゼと親しくならなかったんじゃない?」 いや、時間はかかるかもしれないが、きっと出会えていた。 元々、コロコロ表情を変えて窓を拭く「窓拭き係」が、少し気になっていた。
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