逃走

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「今日の昼前には、R国王と王妃が到着する予定です」 「王子の事、お父様には…?」 「まだ、ご報告しておりません」 騎士様の腕の中で、考え込むセーラ様。 お二人がっ!お二人が絡み合う図、なんて美しいの…! …ちくん。 あ、こんな時に不謹慎ね。 しかも仕事中。良心の呵責ってやつかしら。 心臓が、チクチクしてモヤモヤする。 とにかくお取り込み中だし、ちょっと退出した方が良さそうね。 キリの良い、この端まで拭いて、退出しよう…。 「そこの窓拭き係!こっちにいらっしゃい。早く!」 突然呼ばれた私は、ビクビクしながら近くまで寄った。 「ちゃんと立って」お化粧が崩れながらも美しく鋭い目で、私の頭の上からつま先までじっくり見つめる。 「あなた、名前は?」 「ローゼと申します」 セーラ様は最後に私の瞳をじっと見つめ、ニヤリと笑う。 「ローゼ、あなたは今からルカ王子。私の花婿だ」
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