謝罪

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謝罪

「申し訳ございません!うちの愚息が!」 ここはセーラ様専用の応接室。 R国王様と王妃様が、セーラ様とダーク様を目の前にして心苦しそうに小さくなってソファに座っている。 その様子を、私は隣の控え室から伺っている。 当然、盗み聞きではありません。 今、ルカ王子専属のお世話係によって、私は「ルカ王子」に仕立てられている最中です…お世話係、男性ですけど。 私とルカ王子は身長も体型も(胸の辺りも…) 同じくらいで、同じ金髪碧眼ということにセーラ様は、いち早く気が付いたらしい。 髪をカットされ、似せたメイクを施されている。 「王子はこの結婚に乗り気だと、貴方から伺っていたのですが?」 セーラ様が、R国王に詰め寄る。 「あ…いや、ずっと説得をしていて…その…しかし、最終的には…はい」 なんとも歯切れの悪い、頼りない王だ。 「手紙の内容から、ご自身の意思で逃走したようですが、まさか王様はこの逃走計画をご存知だったのですか?」 「いや!それは無い!こちらも…非常に驚いているわけで…」 R国王が、どんどん小さくなっていく。 結納金として莫大な財政支援を要求しながら、王子を説得しきれていなかったのだ。慰謝料を含め、全額返納してもらうべきだろう。 「調べさせていただいたところ、結納金は全額、即、国民の生活に使われたそうですね。辺境の土地の者にまで」 「はぁ、面目ない。ですから資源も名産もない我が国では…返納は…」 R国王は、白いハンカチがしわくちゃになる程、手汗を拭いている。
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