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二人きりで…
憧れの、豪華なディナー。
夢に見た、ダーク様と二人きりのお食事…!
「それはメインディッシュのナイフだ。使うのは、外側!」
「パンをかじるな!」
「肉を全部細かく切るな!」
「舌打ちするな!!」
あれからずっとダーク様指導の元、立派な「ルカ王子」になる練習を行なっている。
歩き方、立ち振る舞い、自己紹介、結婚式のリハーサル、テーブルマナー…。
今日一日で完璧に身につくわけではないが、可能な限り私に詰め込んでいる。
下町育ちの私には、全てが未知の領域!
最初は冷静を装っていたダーク様も、喜びと興奮に打ち震えていた私も、ディナーの頃にはイライラMAXだった。
いつもの食事に比べたら、凄く豪華だけど…堅苦しいし、ダーク様が目の前で不機嫌だしで、味がわからなかった。
「食事が終わったら、ダンスの練習をするぞ」
ダーク様自ら給仕してくださった食後のコーヒーは、少し緊張をほぐしてくれた。
「…美味しいです」
ダーク様は、ニッと笑う。
「コーヒーの味を覚えたのはまだ最近ですが、…もっと薄いです」
「薄いのが好みの方もいるさ。しかし、美味しいと言ってもらえると、こちらも嬉しいね」
ダーク様はコーヒーを一気に飲み干し、ふぅっとため息をついた。
あぁ、その仕草とコーヒーで、酔ってしまいそうです…。
ダーク様は立ち上がり、私のそばで一礼をし、
「私と踊って頂けますか?」と手を差し出した。
高鳴る胸を押さえ、そっと手を乗せ、「…はい」と応えた。
「違う、復唱しろ!真似をしろ!花婿にダンス申し込む奴がいるか!」
呆れ顔で怒鳴るダーク様。
……今のは絶対ワザとだ!!
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