プロローグ

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プロローグ

「何で、何でこうなるのだっ!」 泣き崩れる皇女様。 そのお方を黙って支える騎士様。 明日は、皇女様の結婚式。 用意されたウェディングドレスが、黙ってこちらを向いている。 お美しい皇女様ですもの。 このドレスを纏えば、世界一美しい花嫁となる事でしょう。 …隣に花婿が居れば。 「どうして?昨日はそんな素振り見せてなかったじゃない…」 涙と怒りと悲しみに染まった皇女様のお顔は、背筋が凍る程の美しさだった。 「そこの窓拭き係!」 窓を拭いていた私はビクッと全身を震わせた。 …聞き耳立ててチラ見していたのがばれたかしら。 「こっちにいらっしゃい。早く!」 冷酷非道と噂される皇女様に指名されて、軽やかな足取りで側にいく使用人はいないだろう。 私はビクビクしながら、近くまで寄った。 「ちゃんと立って」お化粧が崩れながらも美しく鋭い目で、私の頭の上からつま先までじっくり見つめる。 「あなた、名前は?」 「ローゼと申します」 皇女様は最後に私の瞳をじっと見つめ、ニヤリと笑う。 「ローゼ、あなたは今からルカ王子。私の花婿だ」
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