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「そうなの。ふふ、それを聞いて安心したわ。でもね、ナオ……二人に愛されているからと言って必ずしも二人の言うことを聞く必要は無いのよ?」
私が首を傾げると春宵様は、ふふと優しく笑って頭を撫でてくる。
「私は御前に触れて分かったのだけど、ナオが好きなのは……倭でしょう?」
「えっ!? そ、そんな事は……た、鷹様も!」
「いいのよ。嫌われるかも、傷付けるかもなんて気持ちは捨てなさい。二人の幸せはナオが本当にシアワセになる事なの。思いやる気持ちは勿論大切よ? でもね、鷹を思いやってする結婚は間違った行いよ……」
私の胸がズキンと痛む。いつも誰かを傷つけたくないとか思ってるくせに、私の選択が誰かを傷付けてしまう。私なんてやっぱり──!
「あぁナオ、ごめんなさい。貴女を苦しめるつもりはなかったの……お願い、泣かないで」
私は春宵様に抱き締められぐすぐすと泣いていた。
「ねえナオ。鷹は気付いてるわ。御前が本当に心から愛しているのは誰なのかって。分かっていても意地悪をしてるのよあの子は……。同時に御前にも気付いて欲しかった、本当に好きな人が誰なのかを……」
それが本当なら、鷹様は心を痛めている。だって本当に好きな人が、違う誰かを見ている事になるんだ。私だってその痛みを知っている。
「大丈夫……。鷹は確かに御前を心から愛しているわ、でもだからこそ嘘を付いて欲しくないの。鷹のシアワセ、倭のシアワセ、それは御前が本当にシアワセになる事ですもの。恐がらないで? ナオは、誰が好きなの?」
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