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優しい問いかけに私は泣きながらも、見えている鷹様を見つめながらも……金色の髪を未だに揺らして怒る倭様を見つめた。
「倭様……私は、倭様が好き……鷹様も好き……でも、違うの。鷹様も好きだけど……」
「分かるわ、御前の鷹へ抱く気持ちは良い人として好きなのでしょう。でも倭への気持ちは違うわね?」
私は小さく頷く。
「ふふ、良かったわナオの本当の心が知れて。ナオ。好きという気持ちには二つある。そうね、花で例えると……花が好きな人は花を見てるだけで幸せな気持ちになる、でも花を愛している人は、花を育て咲いた花に幸せを感じる、御前はどっちかしら?」
素敵な例え、暗かった周りの景色が、パリパリと心地好い音を立てて崩れていく。そこに広がるのはどこまでも続く青い空と広く青い海、この見える景色こそが、鷹様の本当の心だ。
「あぁ、漸く鷹は抜け出せたみたい。御前を閉じ込めた意味はあったようね」
「そうですね」
『もう良い! 鷹、御前と言う奴は!』
倭様の声が聞こえる。私の好きな人、大切にしたい人、愛していきたい人……。
鷹様も見える。私の好きな人で、大切にしたい人で……お兄ちゃんみたいに頼れる人……。
「帰ります。このままだと大変ですから」
「ええ。倭と鷹に宜しくね。御前の道は開けました。ちゃんと伝えなさい、恐がらないで。二人は決して御前が今まで会ったような人達とは違うから。いいわね」
「はい。春宵様、ありがとうございます」
そう言うと彼女は桜吹雪と共に消えた。私は手を伸ばす、するとキラキラとした細くて白い糸が垂れてきた。私はその糸に捕まり、上へと登る。見えた白い光、その中に吸い込まれるように目の前が眩み……目を開けると……。
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