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「……んっ……」
「早く医者を!」
「主。ナオが……」
体が軽い。起き上がると鷹様と目が合う。彼は小さく頷きながら眉を下げ申し訳なさそうな顔をしていた。
「ナオ!!」
「きゃっ!?」
──ドサッ!
飛び付くように抱き締められそのまま押し倒されてしまう。倭様に頬擦りされて、金色の髪が擽ったくて、でもそれは途中で止まり肩が震えていた。抱く力も強くなる。
「ナオ……ナオ……」
「倭様……」
抱きしめられて見えないけど、気配で鷹様が部屋を出て行くのが分かった。穏やかな空気の流れに少しだけ悲しみが残っている気がする。私の胸がズキンと痛み出す、ちゃんと私の口から話さなければ……このつかえは消えないだろう。
「もう、戻って来ぬかと思うたぞ……」
「そんな事ない。私は戻って来ます。だって……私の帰る場所は……倭様の、胸の中、だもの。倭様が、大好きだもの」
そう口にすると倭様が私から離れ私を凝視する。その顔に見つめられると恥ずかしくて、ふ、と視線を逸らす。
「ナオ……御前……」
「な……なに……」
「今、儂が好きだと言うたのか? 鷹は……」
「鷹様も好き。でも違うの。貴方とは違う、鷹様は……お兄ちゃんって感じなの。でも倭様貴方は違う……私の中で貴方はもっと大切な──っ!?」
気が付けば私はキスされていた。額でも頬でもない、唇に……。
だから私は……首に腕を回してそのまま応えた。私が本当に心から愛しているのは、倭様だと分かるように……。
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