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初めてだった。本当に心から愛する人と交わす口付け、唇が離されて視線がぶつかると……どうしようも無いぐらい心臓がバクバクして、目を見るのが恥ずかしくて……逸らす。体が熱を持ってしまって、両手を頬に当てた。
「何じゃ、照れておるのか……可愛いのう」
何も言えない。ただ、恥ずかしい。私は顔を隠すように、だけど倭様に触れていたくて、そのまま彼の胸の中に倒れるように擦り寄る。
「っ……ナオ?」
「意識したら……恥ずかしくて……今、倭様を見れないの……」
そう口にすると、一定だった心音が少し乱れている気がした。何かと顔をあげようとすると、ぎゅっと抱き締められ、顔が上げられない。
「倭様……?」
「今は儂を見るな……」
その言葉と髪を撫でる仕草、彼も同じ気持ちなのだと気付く。嬉しくて仕方ないのに、恥ずかしくて堪らないんだって。
「倭様……大好き……」
「儂も御前が好きじゃよ、愛しておる……絶対に離さぬ故、誰にも渡さぬ故……儂だけの、妻じゃぞナオ」
耳元で囁かれる優しい言葉に胸の中から顔を上げる、視線がぶつかって、時の流れがゆっくりになり、少し触れるだけの口付けから、倭様の熱い想いが流れ込むようなキスに変わる。
「んっ……」
思わず吐息が漏れて、倭様の着物を掴む。体を支えられて、口付けに応えながら、私はもう彼しか見えていなかった。
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