漆話 情愛

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「こう言ってはアレだが、御前は私より主を見ていた。ふふ、傍でずっと仕えていたからね、ナオ、主は……とてもとても、格好良いだろう?」  鷹様のその問いかけにドキッとして、隣を見上げると私を見下ろす視線にぶつかる。 「……はい、格好良い……です」  視線を逸らす。今まで知らなかった、こんな気持ち……。でも……と、ふと過ぎる思い……。この幸せも、翼の時のようにいつか終わってしまうのかな……。見向きされなくなって……。 「御前、また要らぬ事を考えておるのう」 「へっ、あ……いえ、その……」  見透かされている。そう思うと申し訳なく思う。でも彼は私を抱き上げて鷹様の前で私に口付けをした。 「んんーっ……」  胸をトントン叩くと唇が離される。鷹様の前で……こんな事……。 「ナオ、御前は本当に優しい奴じゃ。だからこそ余計な事を考える。鷹なら心配要らぬ、そして儂が御前を生涯離す事は絶対にない。その約束の誓いを、明日の日暮れから終宵(しゅうしょう)執り行う」 「しゅう、しょう?」 「一晩中、という意味だ」  二人は本当に私の事を大切に思ってくれている。私は皆から咎められたっておかしくないのに。本当に二人は、優しすぎる。 「約束の誓いって、何をするんですか?」 「決まっておろう? 婚礼の儀じゃよ、勿論」  そう言う倭様の言葉に、私は首を傾げていた。婚礼の儀って……終わったんじゃ、ないの?
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