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鷹様の諭すような目と優しい声に私は半信半疑ながらも小さく頷いてみせる。でも私はまだ自分を許せていない、酷い事をしたんだもの。
「どう言えばナオの気が楽になる?」
まるで小さな子供に言うように、鷹様は目の前に跪いてそう聞いてくる。私に何を言っても無駄なのだ……。だって、私が……悪い。
「ナオ、儂を見ろ」
少し強めの口調、ドキッとする。怒られるのだろうか? そう思いつつ顔を上げると、倭様は鷹様の肩を抱きながら二人顔を見合せ笑っている。
「倭様……?」
「ナオ。鷹はのう、本当に御前が好きじゃ。だが御前には分からぬだろうが、家族としての愛に近いのだ。鷹の幸せは、御前が心から愛する者と共になる事だ。鷹は確かに御前に愛を告げた、じゃが儂がナオを好きである気持ちと鷹がナオを愛する心は違うものがある。そうじゃのう……ふむ……」
そう言いながら頭を悩ませているようだった。そんな倭様を私と鷹様は共に見て、クスッと笑い合う。
「私は御前が好きだよ、愛している。そしてそれは御前が幸せになってくれる事で、私は共に幸せを感じてゆける。だがね、主は違う。主は、自分の手で御前を幸せにしたいのだよ。他の誰でもない、自分がね。そこが違う所だね」
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