【第3章】捌話 婚礼の儀(前編)

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 ふと、訪れる静寂……。私は倭様と顔を合わせるもドキッとなり咄嗟に逸らしてしまった。そんな私の傍に近寄り、抱き締めてくる。 「倭様……」 「……二人になれる時を待っておった」  そう言われ、優しく頬を撫でられる。大きな手の温もりと柔らかな眼差しその全てが愛おしくとても大切で……。 「ふふっ……幸せです、私。今とても幸せです」  言葉にして告げると彼もまた嬉しそうに笑って大きな胸の中に包み込まれてしまう。 「御前には話さねばならぬ事が山とある、何故儂らが幼き御前の前から消えねばならなかったのか、御前を選んだ意味、この地の事も、そして儂の事も、鷹の事も……何もかも話すには今は時が短すぎる。故に、婚儀を済ませた後ナオに話すとしようかのう」 「……分かったわ、全て終わったら……話して下さいね」  胸の中から見上げる彼は本当に勇ましく、素敵な殿方である事以外の言葉が見つからない。私は本当に幸せだ……心から、そう思う。 「あの、倭様……今聞きたい事があるのだけど……」 「ん? 何だね」  私は彼から少し身を離して自分の胸に手を添える。 「どうやって、殺すの?」  その質問に、倭様は目を少し見開いて私から離れると小さく頷きつつ私の胸に添えた手の上に指先を添えた。 「心の準備も居るだろうから、話してやるとしようかの」
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