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倭様はそう言うと、私に手を差し伸べる。その手の上に、黒い炎が現れた。近くで見ると熱さはなくて……冷たい?
「これは、冷炎じゃ。冷たい炎、熱さはない。まずこの冷炎で御前の体温を奪い、その後……」
そう言いながら倭様の手から炎が消え、指先に赤い小さな玉を浮かばせる。
「この、死魂にて御前の命を奪う。心臓を止める術じゃ。そして更に御前の体から……心臓を抜き取る。同時に魂と肉体が分離する、肉体は亡び魂だけとなった御前は、死す事になる」
あまりにも真剣な顔に私は生唾を飲み込む。私は、殺される……本当の死を、迎えるのだ。愛する人の、手によって……。
「魂から御前の肉体の記憶を抜き取り、儂はナオの肉体を創る。それが新たな器となる。そこに魂を入れる事で、この地で生きてゆく事の出来る体を手に入れる」
「……それって失敗したら……」
「失敗すれば……御前は二度と……ここへは戻れぬ。ここは境、黄泉の国へ魂が少しでも入り込めば御前は死ぬ。黄泉の国から肆憑国へ戻る事は不可能なのじゃよ……」
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