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次に目を開けたとき、目の前には秋一郎がいた。
「あ、起きた。冬真さん、おはよう」
ベッドに腰掛けて、寝ていた冬真を見下ろしていた彼は、冬真が起きたと分かると、顔を寄せて額に触れるだけのキスを落とした。
ちゅ、と一瞬だけ触れて離れたそれに冬真は少し驚いた。寝ぼけたままの目で秋一郎を見つめると、彼は照れくさそうに頬を掻いた。
「あはは、目覚めのキス的な……」
「…………そうか」
「俺の枕で寝てる冬真さん見てたら、なんか堪らなくなっちゃって……ごめんね、急に」
「いや、全然いいよ」
そんなことで照れている秋一郎は、初で可愛い。けれども、昨日から散々我慢している冬真は、それだけでは満足しない。
「ってか、もっと」
起きあがって、今度は冬真から秋一郎へ顔を近付ける。何をされるか察した秋一郎は、目を閉じて冬真を受け入れた。
ふに、と柔らかい唇同士が重なる。すぐに秋一郎が離れようとしたので、逃すまいと両手で彼の顔をしっかりと押さえた。
「んんっ?! んむ、んーっ!」
れろ、と秋一郎の形の良い唇に舌を伝わせると、驚いた彼がびくりと身体を震わせた。何か言いたげな唇が開いた隙を狙って、舌を捻じ込んだ。
奥に縮こまってしまった彼の舌を自分のもので突くと、秋一郎はおそるおそる舌を差し出してきた。
「ふ、ぅ……、はぁ……」
「……っ、ふ、ン……」
口の中は熱くて、気持ち良くて。鼻で息をしたらいいってことくらい知っているのに。うまく呼吸が出来なくて、甘い吐息が漏れてしまう。
ぴちゃぴちゃと音をたて、無我夢中で互いの口の中を味わった。キスをしながら秋一郎をベッドに押し倒し、逃げられないように腰の上に跨って、やっと彼の口を解放した。
「……、ぷは……っ、と、冬真さん?! 急にどうしたの?!」
顔を真っ赤にした秋一郎が、戸惑った様子で冬真を見上げている。
「……嫌か?」
「いっ、嫌じゃない……むしろ、もっと……」
「じゃあいいだろ」
「あっ、ま、待って……んうっ!」
ちょっと深いキスをしただけで、真っ赤になってあたふたする秋一郎が可愛くて仕方がない。再び唇を合わせて、舌をねじ込んだ。
今度は秋一郎にも余裕が出てきたようで、舌を絡ませながら、冬真のピアス穴だらけの耳をそっと撫でた。すりすりと指の腹で優しく撫でられると堪らなく気持ち良くて、ぶるりと身体が震えた。同時にずくり、と下腹部に熱が溜まるのを感じた。
やばいな、と思い身を捩ると尻にゴリ、と硬い物が当たった。
「ぅあ……っ!」
「……ん?」
「あ、あのっ、ごめん、冬真さん……っ、その、これは……」
何が当たったのか、冬真にはすぐ分かったし、たぶん秋一郎も分かっている。恥ずかしいのか、真っ赤だった顔をさらに煙が出そうなほど赤くして、両手で顔を隠してしまった。
「俺、こんなキスしたの初めてで……気持ち良くて、その……」
「……大丈夫」
秋一郎の片手を掴んで、自分の脚の間に触れさせた。
「……俺も、同じだから」
冬真を凝視していた秋一郎が、ごくりと喉を上下させたのが分かった。
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