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「勝手に入ってくるな、とは、度量の狭い。先生と私の中じゃないですか」
「ただの幼馴染ってだけじゃあないか」
「いいえ、今は編集もしております。そして先生の唯一の友人です。親友と言った方がいいですかね?」
斎藤はすっかり調子に乗っている。
誰が唯一の友達だ!親友だ!その親友の恋人を奪う気満々のどスケベなオマエなどに親友も友達も名乗る権利はない。
「今丁度茹で上がったところなんですよ。よかったら斎藤様も一緒にいかがですか?」
そう言って、渚が蕎麦の皿をもう一つ出した。
品よく盛られる茹でたての蕎麦。
「なぎちゃん、気を使わなくてもいいよ。けど、頂いていいのかい?なんだか申し訳ないなぁ」
その伸びきった鼻をちょん切ってやりたい。
渚のことを勝手に愛称で呼ぶのも気に入らない。
「どうせ酒を飲みに来たのだろう。蕎麦をつまみに飲むぞ」
「久遠先生、酒ももちろん飲みたいですが、今月締め切りの長編、進んでます?」
『ギク』
と大きな音が響いたような~。響かないような~。
「ホラー界の新星、神凪久遠先生に限って、締め切りを破るなんて、ないですよね?」
「ネタをくれ」
「はい?」
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