オメガ社長は秘書に抱かれたい

31/50
前へ
/50ページ
次へ
「あ……っはあ、あ……っふ、う……っい、や……ん……っ」  男の指で中から腹側を押し上げられるたび、濡れた声が口からこぼれる。息も絶え絶えに奏は「や……っめ、ろ……っ」と訴える。 「ずっと欲しがっていたのはあなたですよ」  高辻は怒気を孕んだ低い声で言った。  退路を断たれた先に待っていたのは、高辻の手淫だった。高辻は容赦なく指を根本まで挿れると、奏のクルミ大のそこを捏ねるように揉んだ。一本から二本になり、愛液に溢れた奏のそこは、あっという間に三本の指を受け入れるまでになった。  射精の伴わない絶頂を迎えたのも、もう何度目になるだろう。木に背を預けた奏の下半身は、股関節まわりから膝までの広範囲を愛液で光らせている。 「……っあ、は……っん……っそこ、ばっ……か……やめ……っあぁ」  ドロドロに溶かされ、意識が混濁してくる。口ではやめろと言えるのに、高辻の指に腹を掻きまわされると体が『もっと』と反応する。  奏は高辻の肩に爪を立て、服を握り締める。 「や、め……やめ、ない、で……ん、っや、めて……っ挿れ……って……っ」 「自分でも何を言ってるか、分からなくなっていますね」  耳元で言われると、ビクビクッと体が痙攣する。また、だ。 「あぁ……っ!」  何度も絶頂を迎え、体が疲労で辛かった。でも腹の最奥が疼いてしょうがない。指ではなく、もっと太くて長いもので突いてほしい。  ヒートとはいえ、さっきまで拒絶していたとは思えないほど乱れる自分が嫌だった。高辻の指を受け入れる自分に虚しくなった。 「……っ濃いな」  高辻がボソッと言いながら片手を鼻にやる。朦朧とする意識の中見上げると、高辻の薄く開けられた唇から吐息が聞こえてくる。歪んだ表情から、男が欲情しているのが分かった。  α用の抗フェロモン剤を飲んでいても、長時間にわたってΩのフェロモンを浴び続けていると、薬剤の効果は薄まるのだ。  徐々に高辻の息が荒くなる。互いの声が混じり合う。ふと目をやると、高辻のそこはスラックスの下で隆起していた。  布越しに見ただけで腰にくる。すべて忘れて、目の前で自分に欲情する男のことだけしか考えられなくなる。  相手も本能と理性のあいだで闘っているのだろう。高辻は「あぁ……っクソ」と漏らし、前髪をガシガシと乱暴に掻いた。奏は力の入らない腕を伸ばして、高辻のそこに触れた。布を挟んでも熱が伝わってくるようだった。 「こ、れ……っほし、い……っ」  見上げて訴える。  完全に欲情した目をしている高辻は、 「あなたには……世間知らずな……優しい金持ちがお似合いだと、思っていました……」  と途切れ途切れに言った。  それから自身の腰にあるベルトに手をかけ、手早く緩めた。奏の前で、赤黒く光る高辻のペニスが露わになる。  ずっと待ち望んでいたそれは、先走りに光っていた。さすがαのペニスだ。奏が想像していた以上に太く、そして長かった。  こんな猛々しいもので疼く体内を抉られたら、自分はどうなってしまうんだろう……期待と不安で腹の奥がズクンと疼く。  次の瞬間、高辻は奏の両膝を抱えて持ち上げた。背もたれにしていた木から、再び草叢の上に倒される。やっと挿れてもらえる。そう期待したのも束の間だった。
/50ページ

最初のコメントを投稿しよう!

927人が本棚に入れています
本棚に追加