オメガ社長は秘書に抱かれたい

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***  高辻の汗が、胸の合間にポタッと落ちる。そんな微々たる刺激さえ肌が拾ってしまい、奏は「あっ」と甘い声を漏らした。 「ピルを飲むと言っていませんでしたか?」  奏の乳首を指で捏ねながら、高辻が訊いてくる。 「のん、でた……けど、副さ、よう……がっ」  副作用が酷く、近頃飲むのを中断していた。  胸の突起の他に、今、奏は体内の弱い部分を責められている。高辻のゴツゴツとした指三本でクルミ大のそこを重点的に押し上げられるたび、弾けるような快楽に襲われる。  高辻の母が入院している病院を離れ、奏の運転する車で向かったのは、近くのビジネスホテルだった。空港からそう遠くない場所に位置しているからなのか、部屋の窓からは夜空を飛行するジェット機が見えた。  部屋に入るなり、壁に優しく押し付けられ、高辻に唇を奪われた。最初から激しく舌を絡ませあい、互いの唾液を交換しあう。  情欲を煽るような動きに頭がクラクラした。歯列をなぞられ舌を吸われると、腹の奥がじわじわと濡れ、あふれていくのが分かった。  長いキスのあと、奏はベッドに押し倒され、あっという間に服を脱がされた。むき出しになった腹の上を、高辻の指が滑る。こそばゆさと期待だけで果ててしまいそうだった。  服を脱いだ高辻の体は、引き締まっているのに細いということはなく、かといって余計な肉も付いていない。照明を落とした部屋で、高辻の割れた腹筋がうっすらと見える。  指先でさわりと撫でると、高辻は耐えるように眉根を歪ませて「煽らないでください」と掠れた声で言った。高辻の額には汗が滲んでいる。舐めたらどんな味がするんだろうか。  奏の乳首をチロチロと舌先で舐め、優しく食んでくる歯と唇はたまらなかった。ぷっくりと起ちあがった乳首を指で弾かれ、「ひ……っ」と甲高い声をあげてしまう。  ぐしょぐしょに濡れた後ろの穴に、指がぐっと侵入してきたのは、息を吹きかけられると腰がヒクついてしまうほど乳首を嬲られたあとのこと。 「あっ……や、そ……こ……っ」  体内から腹側をリズミカルに圧されながら、入口をほぐされる。数本の指で中を搔きまわされ、快楽の波が緩やかに押し寄せてくる。もっと触ってほしい。奥をもっと太いもので圧迫してほしい。 「も、っと……っりひ、と……っ」  相手を呼ぶと、中を刺激していた指が引き抜かれた。「あっ」と体を震わせ、名残惜しさから濡れたため息が出る。  霞む視界の中でふと下に目をやると、高辻がベルトのバックルを外していた。チャックを外し、ジーパンを脱ぐ。あらわになったそこを見れば、自然と喉が鳴ってしまう。  その時、奏は気がついた。高辻の切れ長の目が、獲物を狙う動物のように自分を見つめていることに。そして、荒い息を必死に奥歯で噛みしめていることに――。 「はあ、はあ、はあ……っ」  口を開いた高辻のため息の向こうに、グルルルル……と動物的な衝動を報せる音が鳴る。それを認めた瞬間、ぶわっと高辻の匂いが濃くなった。  まずい。なんだこれは。  開きっぱなしの口を閉じることができない。高辻の匂いを嗅いでいるだけで、下半身が疼いて疼いてしょうがない。 「や、なに……っこわ、い……っ」  自分の中に溢れる大きすぎる情欲に、頭が追いつかなかった。ああ、これが――。
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