別れ?

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 食べてみると、やっぱりあまり美味しくなかった。それでも食べられないほどじゃない。半分だけ食べて眠りにつく。  うとうとしては起きて肉をかじり、ぬるま湯を飲んで眠るを繰り返しているうちに、どんどん時間が過ぎていった。  もちろんやる事もきちんとやった。起きているうちは目を閉じて王城の見取り図を頭に入れる。兵士が何人いて、どんな動きをしているのかもなんとなく掴んだ。地上には人が多すぎて、ヒースがどこにいるのか分からない。魔法があちこちかけられていてとても見えにくいんだ。多分見られないようにするための魔法なんだろうな。  そして鎖と首輪がどうにかならないかあれこれ魔法を試す。ほとんどの魔法が効かなくて困っていると、突然頭の中にひらめきと共に何かの呪文が降りてきた。  そうだ、身体の大きさを変えたらいいんじゃないか?  そしてそれが俺には出来るような気がした。なぜなら俺はチートな竜だから。集中して頭の中で強く念じれば、きっとなんとかなるはず。  ひらめきと一緒に降りてきた呪文を想像し、魔力を息に乗せる。  カシャンと音がして、首輪は石の床の上に落ちていた。  もともと二十センチくらいだった俺は、鉄格子を余裕で抜けられるほどの、小さいネズミくらいの大きさに変わっていた。
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