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シエラの話を聞いたりベッドでゴロゴロしている間にヒースとジェイソンが部屋に戻ってきた。
「シエラ、ありがとう。何もなかったか?」
「ええ。私もカルのことが心配だったもの。お話できて楽しかったわ」
シエラはヒースに頼まれて俺の様子をみてくれてたみたいだ。帰ってきたヒースにくっついて甘えたかったけど、みんながいるから我慢する。だけどヒースもジェイソンもうかない顔をしていた。
「どうしたの?」
「カルをどうにか城の外に逃そうと思ったんだが……」
「俺はヒースのそばにいたいよ」
「また狙われたら嫌だろ?」
「お兄様の許可が出なかったの?」
「許可どころか、誰も城から出られない」
「えっ?」
「王城は複数に区切られて封鎖されてる。ケネス兄上の兵士たちが全ての主要な通路や出入り口に配置されているし、おそらく宮廷魔道士が魔法をかけている。話を聞けば、兄上が王位を継ぐまでの期間だけだそうだが……」
「この西側の建物も、式典がおこなわれる大聖堂に通じているだけで、エリオット様やケネス様の居住エリアには立ち入ることはできません」
「でも朝早くエリオットが来たよ」
「それ以降に封鎖されたのでしょう。私たちが逃げ出したり、エリオット様と手を組むのをおそれたのかと」
ケネスは臆病者だ。だから用意周到なのかな。
「シエラ、君の部屋はそこまで監視が厳しくないと思う」
「分かりました。部屋に戻って魔法の結界を探ってみます。私なら警戒されずにケネスお兄様やエリオットお兄様とも会えるかも」
「くれぐれも気をつけてくれ」
「ご心配には及びませんわ。回復魔法は誰よりも得意ですもの。ではヒースお兄様、カル、またね」
シエラは付き人と一緒に出て行った。それにしても、お城が封鎖されたのか。クラウスも入って来られないかな。俺も後で探りを入れてみよう。
「カル、逃すことが難しくなったからお前にも部屋を用意しないとな」
「俺ここでいいよ」
「何を言う、ここはヒース様のお部屋だ。主君と臣下の関係はきちんとしなければ」
「でもヒースと一緒に寝るし」
「なっ……⁉︎」
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